離婚弁護−実子として育てた子が、自分の子ではなく妻の不倫相手の子であった・・・。
2011年3月1日23:27馬場秀幸|個別ページ|コメント(0)|トラックバック(0)
おかしな話だが、貞操観念が希薄化している現代ではありえない話ではない。
判例時報2100号は、このような事例で夫が妻に対してした慰謝料請求、養育費の不当利得返還請求の判決例を紹介
している。
夫が婚姻中の妻が生んだ子を実子として成人になるまで育ててきたが、その後、実子でなかったことが明らかになった事
件で、夫の精神的苦痛に対する慰謝料として600万円が認められた(東京高裁平成18年5月17日判決)。この判決は、
判例時報で直接紹介されたものでないために、600万円の根拠は定かではないが、おそらく、妻の婚姻中の不倫に加え
て、不倫相手との子を出産し、それを長期間夫に秘していたことにつき、遺法性が大きいと判断されたものと思われる。
また、この事件の夫は、別訴で養育費相当額について不当利得としてその返還を妻に求めた。これについては、東京高
裁平成21年12月21日判決は、その請求を棄却した。判決は、棄却した理由として夫が支出した養育費は、妻と嫡出
子の推定を受ける子の婚姻費用の一部として法律上の原因に基づき支払われたものである、子のために支出した養育
費については妻が利得を得ているわけではない、夫と子の関係は、実子でないことが発覚するまでは良好な親子関係
が形成され、夫は自らの経済的負担の対価として子どもの成長につき喜びや感動を与えられてきた、と述べている。
騙されたことに対する制裁は、もっぱら不法行為による慰謝料請求によるべきであるというのが、判決の考えのようであ
る。
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